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『たまには中国茶で“ホッ”』
あれは、ちょうど四十歳を過ぎた頃でしょうか?、日々のさまざまな
ストレスから慢性的な疲労を感じ始めていました。
そんな時に、診療後にゆっくりと中国茶でくつろいでみたらと、
知人から中国茶葉と茶器をいただきました。
しかし、それまで中国茶と云えば、中華料理店で飲んだことのある
ジャスミン茶のイメージしかありませんでした。
そのため、折角いただいた中国茶も、淹れ方もわからないことも
あって、習慣的に楽しむまでには至りませんでした。
その後、テレビや雑誌などでウーロン茶が頻繁に宣伝されるように
なって、これらのペットボトルに入って売られている中国茶
(もどき?)と、先に知人からいただいた本物の中国茶(葉)とは
まったく異なるものだと気づきました。
一度、興味を持つようになるとのめり込む性格ゆえでしょうか?、
それ以来、学会で東京、横浜、京都、神戸、札幌、新潟、博多…と
各地を訪れる度に茶藝館(中国茶喫茶)をハシゴしています。
それぞれの店ごとに、独自の茶藝(中国茶の淹れ方の流儀のような
もの)や見知らぬ茶葉があって、自分自身の鼻と舌と目でじっくりと
楽しむようになりました。
また、お店だけでなくインターネット通販でも中国茶器などを集める
ようにもなりました。大概、男性は、お茶を飲むことよりも何故か
茶器のほうに目が向くそうです。
茶壺(チャフー)、蓋碗(ガイワン)、聞香杯(モンコウハイ)、
飲杯(インハイ)、茶海(チャカイ)、茶盤(チャバン)…、
形や大きさ、絵柄、素材の違うものを揃えていきました。
ところが、やがて収納(陳列)スペースに限界が来ると同時に
購入熱も冷めてしまいました。
このようにやや遠回りをして、ついに、茶器を使って本当に中国茶を
楽しむ(味わう、香りを聞く、茶葉の良し悪しを目利きする)
ところにたどり着きました。
さて、中国茶は四、五千年の歴史があり、昔は薬として珍重されて
いました。しかし、現在では嗜好品(お茶)として楽しまれるように
なっています。
中国茶(葉)の種類は三千種を越すとも云われていますが、
六大茶(発酵の度合いと製法の大まかな流れを加味して分類され、
緑茶、白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶と言うように六つの色で表現
されている)と、花茶・工芸茶に大別されます。
けれども、元々、中国茶(の樹)は、ツバキ科の一種であるカメリア・
シネンシスと言う植物から作られたもので、我々が毎日飲んでいる
日本茶のルーツにあたるのです。
ここで、ペットボトルでお馴染みのウーロン茶は?と云うと、
半発酵茶で、青茶に分類され、緑茶の鮮やかさ&爽やかさと紅茶の
濃厚な色気を併せ持っています。
広東省の石古坪烏龍(セッコヘイウーロン)が烏龍茶の原型という
説もありますが、現在は中国本土や台湾で広く作られています。
数多ある中国茶の中で私が大好きなのは台湾の高山茶(コウザンチャ)
と云われる烏龍茶たちです。
優雅な味わいの凍頂(トウチョウ)烏龍茶のほか、
標高千m以上の茶畑で栽培されている、すっきりとした切れ味の杉林渓
(サンリンケイ)高山茶、
甘く爽やかな香りの阿里山(アリサン)高山茶、
豊かな味わいの梨山(リサン)高山茶などや、
ちょっと変わったところでは紅茶のような東方美人(トウホウビジン)…
何れも個性豊かでとても美味しいお茶です。
ちなみに、お値段の話で恐縮ですが、百gで一万円を超える茶葉は、
流石にすべての点で“うーん”と云った感じで、しかも、七、八煎は
十分に楽しめます。
あっ、そうそう、忘れないうちに、中国茶は、緑茶、青茶、黒茶など
二日酔いにも良いそうです。ちなみに、私の場合は?と云うと、
いつも中国茶の一滴すら飲めない程の二日酔いですので効果は不明です
(笑)。
毎日、次々に仕事は押し寄せて来ますが、どんなに忙しい時にも、
むしろそんな時こそ、ちょっと一息入れて(淹れて?)みようと
思うことが案外大切なのかもしれません。
蓋碗 茶壺 飲杯と聞香杯
(広島保険医新聞 2006年3月10日 第360号 路面電車112 に掲載)