治療年齢
1.永久歯が生え揃っていない子供の時期の矯正治療(第一期治療)
歯と顎骨の大きさのバランスが合っていない(歯が大き過ぎたり、
顎が小さい)ためにすべての歯を並べられない場合や、
上下の顎骨の大きさが不釣合いであったり位置がずれている場合、
さらに、治療後の口もとが突き出た感じにならないように
前歯を引っ込めたい場合などは、永久歯を抜かざるを得ないことが
多くあります。
しかし、永久歯がすべて生え揃って、歯を並べる上下の顎骨の成長が
終了した成人と違って、成長の途中の時期にある学童期に治療を
開始する(第一期治療)と、成長を利用することによって、
抜歯をせずに治療(非抜歯治療)が可能となることもあります。
下顎が小さく後退しているタイプの上顎前突(”出っ歯”と呼ばれる
歯並び)では、下顎の前方への成長を促すような装置を用いる
ことによって下顎の好ましい前方への成長が得られると、
上顎と下顎の前後的なバランスが改善されて、永久歯を抜歯せずに
並べることが出来ます。
上下の顎骨が小さくて、永久歯の前歯だけが生えかわった時点で、
今後に生えかわる犬歯や小臼歯などを並べるには十分な余裕が
無いと予測される叢生(”八重歯”、”乱ぐい歯”と呼ばれる、
ガタガタの歯並び)でも、少しずつ歯列弓(歯を並べるアーチ型の
土手)を拡大していくことが出来れば永久歯を抜歯せずに並べる
ことが可能となることがあります。
また、口唇口蓋裂の症例では(⇒口唇口蓋裂の矯正治療例)、
顎裂部骨移植が必要となることが多く、
このような治療は、小学校に入学して上下の前歯が永久歯に
生えかわりころから開始します。
この時期の矯正治療の目的は、顎裂部への骨移植に備えて、
狭窄した上顎歯列弓(上顎の歯並び)を前方や側方に拡大する
ことにあります。
このように、子供であっても、治療が必要と思われる時期や、
治療に適した時期を見極めることが肝要です。 (⇒
子どもの矯正治療例)
リンガルアーチ セクショナルアーチ
2.(第一期治療後の)永久歯が生え揃ってから開始する第二期治療、
永久歯が生え揃っている大人の矯正治療(成人矯正)
年齢で矯正治療をあきらめる必要はありません。
(⇒
成人の矯正治療例)
・歯周病がひどくて、歯の動揺が著しい、
・歯がほとんど抜けてしまっている、といったことがない限り
60代でも十分可能です。
上下顎大臼歯と下顎前歯部の2歯の欠損と、
下顎前歯部の著しい歯の動揺を伴う重篤な歯周疾患と、
下顎前歯部叢生ならびに上顎前歯部空隙を伴う上顎前突(非抜歯治療)
治療開始時年齢:61歳1か月、治療期間:9か月
(最終的に上下顎臼歯欠損部にはインプラント補綴を、
下顎前歯部にはブリッジによる補綴を施行)
治療前
治療後
詳しい治療経過をご覧になられる場合は画像をクリックして下さい。
顎変形症(上下の顎骨の大きさや位置に問題がある)の場合には、
顎骨の成長が終了した年齢からが治療に適しています。
(⇒
顎変形症の矯正治療例)