矯正治療における一般的なリスク・副作用・偶発症など
1.矯正治療における一般的なリスク・副作用・偶発症としては、
歯肉退縮、歯根吸収、齲蝕や歯周病のリスクが挙げられます。
その他に、装置を装着することによる違和感、
歯が動くことに伴う痛み、
顎関節症状(顎関節雑音、疼痛、運動障害)がでることがあります。
金属アレルギーのある患者さんでは症状が発現することがあります。
埋伏歯を開窓・牽引する際に、骨性癒着(歯根の一部分が骨と直に
くっついている)していて歯が動かないことがあります。
まれに歯の神経障害や壊死がみられることがあります。
脱落した矯正装置を誤飲することがあります。
矯正装置を撤去する際に、エナメル質に微小な亀裂が生じることが
あります。
動的治療終了後の保定中に
後戻りや、後戻り様変化がみられることが
あります。
矯正治療中に、それまで隠れていた齲蝕が見つかることがありますが、
治療を急ぐ必要がない場合には、そのまま矯正治療を続行して、
不適切な形態の補綴・修復物と一緒に、動的治療終了後にまとめて
治療を行うことがあります。
矯正治療は、
患者さん本人の協力(定期的な通院、装置の装着など)が
非常に重要であり、
治療年齢、
治療期間や
治療結果に影響することが
あります。
矯正治療をすると、元の状態に戻すことは困難です。
2.
顎変形症の治療に伴う主たる偶発症・合併症としては、
出血、知覚異常、後戻り、顎関節症、
Progressive Condylar Resorption、心理的不適応、
閉塞型睡眠呼吸障害などが挙げられています。
そのため治療開始前に起こりうる偶発症・合併症に関する十分な説明を
行って、インフォームドコンセントを得た上で治療を開始すべきである
とされています。
…日本口腔外科学会による顎変形症診療ガイドライン(2008年)
3.
顎裂部骨移植の術後合併症には、
移植骨の露出や感染、創哆開が挙げられます。
感染の対策としては、術前に、慢性辺縁性歯周炎、慢性根尖性歯周炎、
顎裂部の埋伏歯、鼻炎・副鼻腔炎に対する治療を行っておくことが
重要です。